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電卓の歴史

小型化と軽量化

Story 1 液晶表示の登場

『カシオミニ』で電卓のパーソナルユースを創造したカシオは、その後も価格競争をリードしていった。その結果、他社は価格以外にアドバンテージを見いだすことに注力しはじめた。そして1973(昭和48)年、表示に液晶を採用した電卓が日本のメーカーから発売された。
それまで数字の表示には蛍光表示管が用いられていた。この蛍光表示管を液晶表示に替えることで、消費電力を抑えることも可能になった。

Story 2 価格競争から薄型化競争へ

Story 2 価格競争から薄型化競争へ

消費電力が小さくなったということは、電源も小型化できるということ。つまり、より薄いサイズの電卓を開発できるということである。1975(昭和50)年に厚さ9ミリの「手帳サイズ」電卓が発売されると、新製品が発表されるごとに電卓はスリムになっていった。翌年にはボタンを持たないタッチキータイプの電卓も登場し、厚さ5ミリを記録。依然続いていた電卓戦争は、次第に薄さの戦いへと移り変わったのである。
すでにトップメーカーとしての地位を築いていたカシオも、1978(昭和53)年、驚くべき製品を送りだしている。ボタン電池で駆動する名刺サイズの電卓『LC-78』だ。厚さはなんと3.9ミリ。持っていることを忘れるほどスリムな電卓として、月産40万台のヒットを飛ばした。『カシオミニ』の倍を行く売れ行きである。

Story 3 世界最薄・厚さ0.8ミリのクレジットカード電卓

Story 3 世界最薄・厚さ0.8ミリのクレジットカード電卓

そして 1983(昭和58)年、カシオが究極とも言える電卓を発表した。厚さ0.8ミリ・重さ12グラムのクレジットカード電卓『SL-800』だ。
これほどの薄型化を実現できたのは、電子部品のフィルム化技術に寄るところが大きい。『SL-800』は、LSI・液晶表示・太陽電池を全てフィルム化し、それらを接合することで世界最薄の厚さ0.8ミリを実現した。
『SL-800』をカシオの電卓1号機『001』(1965年)と比べると、重量は1417分の1、容積は1209分の1。この数字こそが、技術革新の驚くべきスピードを如実に語っている。

Story 4 小型化・薄型化競争の終焉

Story 4 小型化・薄型化競争の終焉

誕生以来、ハードウェアの変革によって進化してきた電卓。トランジスタ→IC→LSIという半導体技術の進化、そしてニキシー管→蛍光表示管→液晶という表示技術の進化によって、小型化と軽量化がほぼ究極にまで近づいた。そして『SL- 800』の発売により、0.1ミリ単位で展開された薄型化競争も幕を閉じ、電卓は新たな方向に向かう。
実は小型化・薄型化と並行して、カシオは電卓開発において別の道を見いだしていた。それは電卓の高機能化・高付加価値化である。1975(昭和50)年には、バイオリズムを表示する『バイオレーター』を発表。以降発売される複合製品の礎ともなった。

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