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導入事例のご紹介 <プロジェクター>

日本科学未来館 様

2013年10月11日掲載

先端科学が体験できる空間づくりに、グリーンスリムプロジェクターが活躍。

日本科学未来館は、科学技術への理解を深めるための拠点として、2001年に東京お台場に開館した国立の科学館。常設展示、企画展示、イベントなど、さまざまな形で「新しい知」に触れることができる。なかでも人気を集めているのが、2011年8月公開の「アナグラのうた―消えた博士と残された装置」。この体験型展示を担う映像機器のひとつとして、レーザー&LEDハイブリッド光源搭載のグリーンスリムプロジェクターXJ-A150Vが採用されている。

日本科学未来館
日本科学未来館

体験型展示の映像空間を、24台のプロジェクターで実現

運営事業部 展示開発課 常設展示担当 瀬口慎人氏
運営事業部 展示開発課 常設展示担当
(現:事業部 展示企画開発課 技術開発担当) 瀬口慎人氏

 日本科学未来館3Fにある常設展示「アナグラのうた―消えた博士と残された装置」は、空間情報科学をテーマにした体験型展示。人の動きや生体情報をもとに、インタラクティブに映像や歌といったコンテンツが生成され、個人の持つ情報が、どのように発信・共有・選択され、資源として活用されるかを直感的な経験を通じて考えることができる。

 また、この展示は1,000年後の未来を舞台にしたストーリー仕立てになっており、そのエンターテインメント性あふれる世界観を表現するため、計24台のプロジェクターを使用し、床や壁に映像をマルチ投映。展示全体がひとつの映像の中にあるかのような空間演出を実現している。こうした取り組みが評価され、2011年「第15回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞」を受賞している。

 「展示空間内では、参加者の位置や体験情報がセンシングされており、足下には、ミーと呼ばれるパーソナル情報をグラフィック化したキャラクターが常に表示されます。参加者は、このミーを従えながら場内を自由に動き回り、空間情報科学について知ることができます。」と語るのは、運営事業部 展示開発課の瀬口慎人氏。

 映像を投映するプロジェクターには、カシオのグリーンスリムプロジェクターXJ-A150Vを採用。天吊り設置し、床面への投映に16台、壁面用に8台を使用している。導入にあたっては、長寿命のハイブリッド光源を用いながら、オープンな空間でも不足のない高輝度を実現している点が、高く評価された。

 「インタラクティブな映像空間を実現するため、映像機器については、液晶モニターも含めてさまざまな検討を行いました。最終的には、コスト面や設置性などからプロジェクターを使用することに決定しましたが、画角や天井高から展示空間全体をカバーするためには、24台が必要だとわかりました。」

天吊り設置されたXJ-A150V
天吊り設置されたXJ-A150V

 そこで課題となったのが、メンテナンス性と運用性。高圧水銀ランプモデルの場合、寿命の長いモデルでも4〜5,000時間ごとにランプの交換が必要となるが、24台すべての交換の手間を考えると、あまり現実的ではない。設置場所の真下には、展示什器などもあり、交換作業も容易ではない。

 「その点、カシオのグリーンスリムプロジェクターは、光源寿命が長くランプ交換などのメンテナンスの必要がほとんどありません。そのうえ3,000ルーメンの明るさを確保しており、外光の影響を受けやすいオープンフロアでの展示にも適しています。開発当時、半導体光源と高輝度を両立したプロジェクターは、これしかありませんでしたね。」

メンテナンスの手間と時間を軽減し、優れた運用性能を発揮

「アナグラのうた―消えた博士と残された装置」エントランス
「アナグラのうた―消えた博士と残された装置」エントランス

 「アナグラのうた―消えた博士と残された装置」の展示では、プロジェクターを1日約8〜10時間程度使用。年間で3,000時間近く稼働させる計算になる。2011年の運用開始から2年以上が過ぎた現在、投映時間は7,000時間を超えているものの、明るさには問題なく、光源の交換も導入以降一度も行っていないという。

 「定期的なランプ交換を行うことが前提になると、高所に設置したプロジェクターへのアクセス性も考慮に入れた構造にする必要があります。しかし、頻度が少なければ、そこまで神経質になることはありません。その分、より自由度の高い空間づくりが可能になります。もちろん、コスト面でもメリットは大きく、ランプ代がかからないだけでなく、消費電力も少なくてすむので、大幅な経費削減につながることは言うまでもありません。」

 また、複数の画面を並べてひとつの空間を創り出すというシステム構成上、画面がひとつ欠けるだけでも展示は成立しなくなる。そのため、プロジェクターの管理には気を遣っており、日々点検作業を行っているという。

 「テクニカルスタッフが、毎日システムをチェックしています。グリーンスリムプロジェクターには、ダイレクトパワーオンやダイレクトパワーオフ機能が付いており、一括で制御できるのがいいですね。また、保守や点検で何度も電源を入れたり切ったりすることがあるのですが、電源オンから最大輝度に達するまでの時間が最短8秒と非常に速く、電源オフ後のクールダウンも不要とあって、スムーズに作業でき大変重宝しています。」

 その他、XJ-A150Vの特長として、A4サイズ&約2.3kgの軽量コンパクトを実現している点が挙げられる。さらに、エコマークの取得やグリーン購入法に適合するなど、水銀フリーによる環境負荷低減への貢献も大きな魅力のひとつだ。

 「サイズや重量が扱いやすいレベルに収まってくれることは、展示を構成する機器としてメリットがあるだけでなく、万一、落下などのトラブルがあった際、リスクを最小限に減らせるという面でも重要な意味を持ちます。また、当館では、環境技術を扱うこともあり、エコに対する取り組みには積極的です。子供達にクリーンな未来の環境を受け継いでもらうという意味でも、水銀フリーのグリーンスリムプロジェクターの導入は正解だったと言えるでしょう。」

 また、設置位置によって生じる画面縦方向の歪みを自動補正する機能や、これまで同社が使ってきた機種と比べ輝度や解像度など基本的な性能も格段に向上したことも、やはり便利に感じているポイントだ。

プロジェクションを活用した展示風景
プロジェクションを活用した展示風景

 2011年に公開されてから、ロングラン展示が期待される「アナグラのうた―消えた博士と残された装置」。ロングライフ光源を搭載したグリーンスリムプロジェクターとともに、これからも多くの人たちを楽しませてくれるに違いない。

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