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導入事例のご紹介<ハンディターミナル>

株式会社様ダンロップスポーツエンタープライズ様

2006年10月13日掲載

スコアラーの入力用端末に業務用PDAを採用し迅速かつ正確なスコア速報を実現

株式会社様ダンロップスポーツエンタープライズ様

ゴルフプロトーナメントの企画・運営を主な業務とするダンロップスポーツエンタープライズでは、以前から各選手のスコアを速報するためのシステムを模索し続けてきた。現在では、端末にはカシオのPDA「CASSIOPEIA」シリーズを用い、コース内に設置された無線LAN環境を通じて、リアルタイムに本部のサーバーと通信できるまでになっている。より迅速かつ正確にスコアを伝えることができるようになり、端末を操作するスコアラーにも好評だという。

無線LAN対応モバイル端末を用いた独自のスコア速報システムを構築

ダンロップスポーツエンタープライズトーナメント事業部 事業開発室 室長 ゼネラルマネージャー 矢内樹二氏

ダンロップスポーツエンタープライズ
トーナメント事業部 事業開発室 室長
ゼネラルマネージャー 矢内樹二氏

スポーツの試合には、結果の速報が欠かせない。TVや新聞、Webサイトなどに対して情報を提供するのは運営者の役割だ。ダンロップスポーツエンタープライズは、結果速報におけるゴルフならではの課題に古くから取り組んできた。


ダンロップスポーツエンタープライズ トーナメント事業部 事業開発室 室長の矢内樹二ゼネラルマネージャーは次のように説明する。


「ゴルフは目の前の1ホール分しか見えませんから、各組のスコアは組ごとに同行するスコアラーが記録しています。昔は、紙に手書きで記録したスコアを、無線機で本部に連絡していました。記入時、連絡時、そして聞き取る側でも、それぞれミスが生じる可能性がありました」


しかもゴルフトーナメントでは、プレイ中は静粛にしていなくてはならない。無線機での連絡にも大声を出せないから、連絡ミスもあっただろう。


「その後、各ホールのグリーン横に専用の端末を設置し、そこで入力した数字が本部に伝えられるようにしました。しかし、このシステムはテンキー入力のみの仕様だったので、スコアの数字しか伝えられませんでした。しかも、プレイヤーの動きに関係なく必ず端末に立ち寄って入力しなくてはならなかったので、次のホールへの移動時にスコアラーが遅れることもありました」(矢内氏)


こうした課題を解決すべく、ダンロップスポーツエンタープライズは5年ほど前から新たなシステムを検討してきた。無線LAN通信機能を備えたモバイル端末をスコアラーに携帯させ、コース内に無線LANアンテナを配置して、端末に入力されたデータをリアルタイムで本部に設置したサーバーへ転送するシステムだ。

ダンロップスポーツエンタープライズのスコア速報システム
ダンロップスポーツエンタープライズのスコア速報システム

「端末には、各社の製品を比較した結果、カシオの『CASSIOPEIA DT-5100』を採用しました。DT-5100は業務用のハンディターミナル機能を備えたPDAですから、水濡れや落下の衝撃にも強い上にコスト面でも優れているという点が選択した理由です。コンシューマ向けのPDAでは防水性や耐衝撃性が考慮されていないので、コース上で使うには保護用カバーを作るなどの工夫が必要となり、結果として高くついてしまいます。また、軍用端末も検討しましたが、こちらは過酷な環境に耐えられる反面、値段も桁一つ高いということで採用には至りませんでした」(矢内氏)


ソフトウェア開発はダンロップスポーツエンタープライズ自身で行った。DT-5100はOSにWindows CEを採用しており、オープンなソフト開発環境が利用できる。


スコア速報システムは、数試合をかけて実地でテストされたのち、60台のDT-5100を導入して2004年6月から男子トーナメントで実際の利用を開始した。ちなみに、トーナメントでは18ホールのコース内を最大144名、3人1組で48組がプレイする。端末60台とは、全48組分に予備を加えた数だ。

より使いやすい端末として「CASSIOPEIA DT-10」を追加

端末を操作するのは、主にボランティアで参加するスコアラーだ。当然ながらゴルフが好きでスコアラーを引き受けており、ゴルフのことには詳しいが、情報機器に詳しいとは限らない。そのため、速報システム開発に際しては操作性が最大の焦点になったと矢内氏は言う。


「スコアラーは40代~50代の人が多く、中には電子機器アレルギー的な方も多いです。ですから、できるだけ使いやすくするよう、端末の画面には特に腐心しましたね。トーナメント当日の朝に集合し、説明を受けてからコースに出るまで最短で1時間程度ですから、初めて触れる人でもすぐ使えるよう、あらかじめ入力練習用モードを用意し、触れて練習できるようにしました。また、入力したデータの確認や修正も可能です。さらに、ボールが落下した場所がフェアウェイなのかラフなのか、はたまたバンカーなのかといった情報も入力するようになっているので、スコアラーもむしろ楽しみながら使っていますし、本部では選手ごとのフェアウェイキープ率などの集計も可能になっています」(矢内氏)

直感的に入力できるインターフェース
直感的に入力できるインターフェース

さまざまな工夫をこらした結果、端末の導入はスムースに進み、その操作性はスコアラーからも高く評価されるようになった。「いちいちテンキー端末まで入力に行かなくて済むのがいい」「自分が入れたデータを勝手に送ってくれるので便利」「ポジションを意識せず、選手と一緒のペースで行動できる」といった評価を得ているという。

業務に使える仕様を備えた「CASSIOPEIA DT-10」
業務に使える仕様を備えた
「CASSIOPEIA DT-10」

その後、スコア速報システムは男子トーナメントだけでなく女子トーナメントでも活用されることになった。男子と女子のトーナメントは同時に開催されることが多く、両方のトーナメントで利用するには新たに60台の端末が必要だ。ダンロップスポーツエンタープライズでは、これまでの課題を踏まえて端末を検討し、追加の端末として同じくカシオの業務用PDA「CASSIOPEIA DT-10」を選んだ。


「他社製の端末も検討したのですが、カシオは不具合時のメンテナンス対応を『いの一番』でやってくれるなど、サポートのレスポンスが良いので、やはり今回もカシオ製品を使うことにしました。同じメーカーの同じシリーズの製品なので移行も非常にスムースでしたね。DT-10は画面が少し大きく、かつ屋外でも見やすい半透過型の液晶を搭載しており、本体は逆に少し小さくなりました。またバッテリ持続時間も、大幅に伸びました」と矢内氏は評価している。

設置作業の負担を減らすため携帯電話回線の併用を検討

ダンロップスポーツエンタープライズでは現在、スコア速報システムのネットワークを利用し、ギャラリー向けに新たなサービスを提供できないかと検討しているほか、システムを運用しやすくするため、通信インフラの改善に取り組んでいるという。


「無線LANアンテナの設置負担を減らすため、携帯電話回線による通信のテストを行っているところです。しかし、ゴルフ場は電波条件の厳しい場所が多いことから、完全に携帯電話サービスにのみ依存することはできそうにありません。また、基地局の故障や交換機トラブルなど、携帯電話サービスに何らかの不具合があったらデータが届かなくなりますから、それも困ります。ですから、やはり無線LANと併用する形が妥当だと考えています」(矢内氏)

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